
こんにちは!デザイン部責任者の平野です。
これまで下記の記事にて「コンセプト」について記事を書いてきました。

【第3弾】どうデザインを依頼して、何をチェックして修正指示を出せばいい?

【発想法】アイデアが浮かばないのはコンセプトにコミットできていないから。
記事の中ではコンセプトをどのように表現して、どのように伝達して、デザインに落とし込むか。
を書いてきましたが、今回はその逆で「伝えなくていい・伝わらなくていいコンセプト」について書いていきます。
目次
コンセプト

過去の記事にて書いていたコンセプトは
①誰に
②どんな情報を
③どんな印象で伝えて
④どんな反応を引き出したいのか
というものでした。このコンセプトをもとに、どのような表現で情報を伝達するのか。
これがいわゆる「広告のコンセプト」になります。
ひとえにコンセプトといっても色々あります。
今回は制作する機会の多い「ロゴ」に焦点をあてて解説していきます。
ロゴタイプとロゴマーク

ロゴは大きく分けて下記の3パターンに分けることができます。
①文字だけのもの
②マークだけのもの
③文字とマークが組み合わさったもの
いずれも「ロゴ」ですが、そのなかでも文字については「ロゴタイプ」、マークについては「ロゴマーク」と呼ばれます。
それぞれの違いを解説します。
ロゴタイプ
ロゴタイプというのは基本的に文字を中心としてフォルムを組んだものになります。
「Google」「SONY」「KIRIN」「HITACHI」「Canon」「Panasonic」「NETFLIX」等々が有名ですね。
文字ベースで作られるので、企業名・商品名・サービス名・店名など認知してもらいやすいのが利点です。
アルファベットで構成したりすると、ある程度国籍を問わずに認知拡大を狙えます。
なので上記のようなグローバル展開のある企業やサービスはロゴタイプの採用が多いですね。
ロゴマーク
ロゴマークというものはイメージやモチーフを基本としてフォルムを組んだものになります。
「Apple」「ヤマト運輸」「スターバックス」「車メーカー」「クレジットカード」「QR決済」等々のロゴがそれに該当しますね。
省スペースで認知を拡大することが可能なので、マークを知っている人たちに対して視覚的に強くアピールできるのが利点です。
走っている車がどこのメーカーのものかだったり、レジでQRやクレジット等の決済方法が利用できるかどうか無意識的にロゴマークで探した経験がありますよね?
そういったある種速度感を持って伝達したい場合に採用が多いですね。
ちなみに個人的には、WEBでの表示がメインであれば色数はそこまで気にしなくてもよいかもしれませんが、基本的にマークは色数を少なく、複雑すぎないフォルムをおすすめします。モノクロでの印刷や小さいサイズの看板や印刷などに、潰れて見えたりするとマークの利点がなくなってしまうので、シンプルな構成がおすすめです。
ロゴマークとロゴタイプの組み合わせがおすすめ
弊社の企業ロゴや当サイトなどもそうなんですが、基本的には組み合わせることが色々な用途に活用しやすくおすすめです。文字として読んで認知してもらいやすいですし、マークは企業だと社章や名刺、封筒などそういった展開がしやすいからですね。
店舗ロゴにおいても、例えばブラウザのタブにはアイコンが出ますし、姉妹店やブランド一覧を並べるときなんかもマークは省スペースで多くの情報を伝えることができますね。
ロゴのコンセプト例

ロゴの違いなどは分かったところで、では一般的にロゴにはどのようなコンセプトがあるのか?を解説します。
画像は著作権の関係で出せないため、見にくいかもしれませんが文字だけの説明になります。
日清食品
日清食品のロゴ言えば「赤い半円」に「NISSIN」と白抜きの文字が配置されたシンプルなデザインですね。
赤い半円は食品メーカーとして「口」であったり「器」を表現しています。さらに「社会を”円”とするならば、その”半分”を担いたい」という意味も含まれています。
アディダス
アディダスといえば三本ラインのイメージですよね。その三本ラインは創業当時、革のシューズを販売していたところ靴の中腹部分の革が伸びてしまい、フィット感が損なわれてしまったことから三本のバンドを入れて補強したのが始まりのようです。
それ以来そのほかの例えばジャージやロゴには三本ラインが入れられています。
また数回ロゴが変更されていますが「三つ葉」のロゴ時代にはスポーツブランドとして縁起のいい月桂樹+三本ラインで表現していて、長方形が3つ斜めに配置されているロゴでは右に向かって伸びていくことから、未来へのチャレンジや目標の達成などを三本ラインとかけ合わせて表現しているようです。
Amazon
Amazonのロゴは黄色い矢印がアルファベットの最初の文字のaから最後の文字であるzに繋がっています。これは「a→z」まで、ありとあらゆるものが手に入るということを意味していて、同時に矢印でスマイルも表現しています。これは、Amazonで購入する人々の幸せを意味しています。
Smart creative

当サイトのロゴにも実はコンセプトが隠れています。
ただ実は「Smart creative」は仮のサイト名でした。僕はネーミングセンスがあまりないので、ちまちまとソースコードを書きながら、皆から案を貰おうと思いました。公開までの間にデザイナー達から募集していたんですが1案も出ずに「ええい!いってしまえ!」と割り切ってスタートした名前なんです。
ロゴタイプ

当サイトのソースコードを書き始めた当時はシティヘブンをはじめとする雑誌を何本も制作していた時代でした。
営業が広告を、編集部が取材を、それぞれが店舗様と打ち合わせしてきた内容をページとして制作するのが我々デザイナーの仕事でした。店舗様により幅は違いましたが、WEB(バナー)が広告の主流になっていくに連れ、店舗様に対し月1ページ広告を制作する。みたいな感覚ではなくなっていき、極力間の打ち合わせを省き、要点を伝えて広告が出来上がるという納品の量と速度を上げる必要が出てくるだろうと感じ、これまではデザイナーが直接店舗様とやり取りや打ち合わせをする事が無かったのですが、我々デザイナーも前に立ち店舗様と繋がっていくという改革の意味も含んだサイト開発でした。
そういった背景からこちらのロゴタイプには「mart(マーケット・市場)」と「i(私・デザイナー)」を繫ぐサイトになる。という意味が込められています。
ロゴマーク

こちらのロゴマークは我々デザイナーが所属している「株式会社キューズナレッジ」という会社のロゴと意味を共有・リンクさせている部分がるのですが、大きなコンセプトとして「四方良し」という意味を持っています。この四方というのは「店舗様」「働く女性」「ユーザー」「我々(会社・社員)」の4方向に良い働きやサービスを提供していく。となっています。これが4色で表現している部分です。
またこのサイトが提供するサービスは「クリエイティブ体験」なので、広告で店舗様・女性を「彩る」サービスになります。4色の色のうち、黄緑が我々の色(コーポレートカラー)になるのですが、我々は絵の具のパレットを表現していて、我々を抜いた三方を絵の具として彩っていくという意味を込めて表現しています。
さらに当時のデザイナー達にとって大きな変革だったのでデザイナーという人たちは「ラーニングアニマル」であってほしい。という意味も込めて肉球っぽいフォルムにもなっています。
ラーニングアニマルというのは…
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常に新しい知識を求め、学ぶこと自体を目的として、失敗を恐れずに新たな解を導こうとする人材を指します。学ぶ機会を積極的に取り入れ、新しいアイデアや情報に興味を持ち続け、楽しみながら学び、常に我々はこれまで何をしてきたかではなく、これから何をしていくのかに焦点を当てて行動をしていく。
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という意味も込めて制作しています。
まとめ
コンセプトやロゴの意味を紹介いたしましたが、いかがでしたか?
「いやいや誰が分かんねん!」って感じですよね。
コンセプトが伝わらないのはデザイナーの実力不足なのか?というと全くそんな事はありません。
記号やマークなどのシンボリックな対象のデザインにおいては、「コンセプトが伝わるようにデザインしないといけない」という基本ルールが当てはまらないというか、重要視されていないのです。
こういったロゴはCI(コーポレート・アイデンティティ)として、企業・サービスの内容や理念などを表現すること自体が目的だからです。広告コンセプトと違い、意味の伝達を外側(ユーザーや消費者)に伝えるのではなく、内側(事業者・社内・社員)に伝える・伝わる事を期待しているからですね。
内側にはデザインで一目瞭然にしなくてもよく、いくらでも言葉で説明できますからね。
今回は同じ「コンセプト」という言葉でも広告・ロゴのように、デザインをする対象(媒体)が変われば、目的や取るべき手段・方法が大きく異なるというお話でした。
弊社では店舗様のロゴのデザイン等も承っております。新しくお店を出店されて弊社媒体に掲載をされる際は是非一度ロゴのご依頼もお待ちしております。デザイナーの相性の良し悪しもありますので、まずはデザイナーをチェックしてみてください!
それでは!