
こんにちは!デザイナーの平野です。
皆さんはデザイナーという仕事について
・センスが必要だと思う
・絵がうまい必要がある
・おしゃれ、かっこいいなど美観性が重要
みたいなイメージはありませんか?
このようなイメージを持ってデザインとアート、もっと言うと
デザイナーとアーティストが混同したまま「いい感じにしてくれ」と依頼すれば、
「あれ、なんか違う…」と静かな悲劇が訪れます。
今回はこの2つの違いを紐解いて、うまくデザイナーを使う方法を考えていきます!
目次
それぞれの共通点

冒頭の文を読むと、「デザイナーとアーティストって真逆の存在なの?」
と思うかもしれません。……が、実はそうでもありません。
両者には、ちゃんと共通点もあります。
まずひとつ目は、”創作”・“何もないところから何かを生み出す仕事”であること。
白い紙。真っ白な画面。そこに向き合って形をつくっていく。
これはアーティストもデザイナーも同じですね。
「0→1」を生み出す苦しさと楽しさは、共通の職業病と言ってもいいかもしれません。
そしてもうひとつの共通点は、感覚と経験の積み重ねがものを言う世界だということ。
どちらもマニュアルだけでは到達できません。
先輩や上司にどれだけ教わっても、逆に後輩や部下にどれだけ教えても、
経験しないことには到達できないのが歯痒い職業でもあります。
過去に見てきたもの、作ってきたもの、失敗してきた数。
それらが無意識の引き出しとして蓄積されています。
そのため外から見ると、「なんとなくセンスで作っているように見える」
と思われがちですが、実際はその裏で膨大な経験値が動いています。
なので簡単に真似できる仕事ではないという点は共通していますね。
アーティストとは「主観」

アーティストとは、自分の内側にある感情や世界観を表現する人です。
出発点は、常に「自分」という主観にあり、
多くの場合は誰かに依頼されて作るというより、
「これを表現したい」から作品が生まれます。
そのためアートには、明確な正解がなく自由です。
見る人によって感じ方が違う事も多い作品も多く存在しますね。
正直私も例えばバンクシーやバスキアと凄い!と言われても
「皆が凄いと言うなら凄いのか~なるほど全然わからん」くらいなもんです。
なので腰を振り、髪をかき上げながら
「ゴッホより普通にラッセンが好き~!」の感覚、超分かりますね笑
つまり評価されるのは、分かりやすさよりも、思想や感性、世界観。
アーティストは、“伝える”というよりも、“感じさせる”こと、もしくは”創作自体が目的”なのかもしれません。
デザイナーとは「客観」

デザイナーとは、誰かの目的を形にする人です。
出発点は「自分が作りたいもの」ではなく、「何を達成したいのか」「何を伝えたいのか」。
その目的を整理し、どうすれば達成できるのかを考えるのがデザイナーの役割です。
例)
・問い合わせを増やしたい
・認知を上げたい
・売上を増やしたい
これらは客観的に観測できるので、ある程度の“正解”があります。
評価されるのは、見た目の好みだけではありません。
デザイナーの仕事は、かっこよくすることではなく、成果につなげること。
つまりデザインとは、表現ではなく「課題解決」の手段なのです。
おまかせ依頼について

デザインの依頼で、かなりの確率で登場する言葉があります。
それが——「いい感じにしてもらえれば大丈夫です!」。
一見、とても寛大で優しい言葉に聞こえます。
デザイナー側としても「信頼してもらえているのかな?」と感じます。
……が、実はこれ、制作現場ではかなり緊張が走るフレーズでもあります。
なぜならこの言葉、ゴールがどこにも書いていないからです。
デザイナーに「自由に作って」は危険?
「自由に作ってください!」
と言われた瞬間、デザイナーの頭の中ではこんな会議が始まります。
・どんな人に向けたもの?
・どんなテイストでする?
・売りたい?印象づけたい?
・会社としての立ち位置は?
——情報、ゼロ…。
もしくは「おまかせだ!何しよっかな~」と何も考えないデザイナーかの2択です。
どちらにせよ結局この状態で作れるのは、“デザイナー個人の好み”に寄ったデザインです。
もし依頼者の好みと一致すればラッキー。
ズレていれば、「あれ、なんか違う…」という、あの静かな悲劇が再び訪れます。
これはセンスの問題ではなく、前提条件が共有されていないだけなのです。
目的を伝えることの重要性
デザインで一番大事なのは、色でも、フォントでも、装飾でもありません。
「何のために作るのか」。
これがあるかどうかで、デザインの方向性は大きく変わります。
同じバナーでも、
・とにかく目立たせたい
・信頼感を出したい
・安さを伝えたい
では、正解はまったく違います。
目的が明確になるほど、デザイナーは迷わなくなります。
迷わなくなるということは、結果として精度の高いデザインにつながります。
それでも私は「おまかせが好き」
私は個人ページの自己紹介文に「おまかせ依頼が大好きです。」と記載しています。
これ、昔から周りのデザイナーに「え?なんで?意味わからん」と結構言われます。
これには理由があります。
仮にデザイナーを医者とします。
外来の患者さんが「お腹が痛い」ときた場合に症状を聞いて問診を行います。
その結果、CT・レントゲンなり胃薬なり便秘薬なり、適した方法で検査・治療を進めますね。
そうこれが普通の流れです。
これが「お腹が痛いから、胃薬をくれ!」って言ってくる患者さんだと少し困るのです。
もし症状が便秘の場合、全く治療にならないからですね。
もっというとすでに健康な患者さんが来て「とにかく健康にしてくれ」と言われても困りますね。
「バランスの良い食事を心がけてください」みたいな当たり障りのない方法しか取れません。
「お腹が痛い」という課題解決に向けて、治療方法を「おまかせ」にしています。
私的にはこれがやりやすいというか、もっとも効果的だと考えているという次第です。
過去「お店で一番お得な割引です。最も安く遊べることを高級感を感じるように伝えてください!」
みたいな依頼があったりもして、本当に効果があっただろうか…と心配になったこともありました。
私の場合は「おまかせ」とあっても何か課題があると感じた場合、ヒアリングをさせていただきます。
そのコミュニケーションを経て依頼者・製作者で共通の目的・ゴールを設定をします。
・この施策やデザインが上手くいきそうかどうか
・掲載後上手くいっているかどうか
・次は何をどうするべきか
その依頼の成功の可否が互いに客観的観点から観測できるようになるのが理想と感じているからです。
持論ですが、いいデザインというものはいいデザイナーから生まれるのではなく、
いい依頼者から生まれるものと思っています。
これらはデザイナーごとの性格・タイプによっても大きく変わるかもしれません。
詳しくは下記の記事からタイプを見てみてください!
【診断】あなたにピッタリのデザイナーは?4タイプ診断で相性チェック!
これからのデザイナー
少し前まで、デザイナーは「言われたものを形にする人」
という立ち位置で見られることが多くありました。
指示書があり、ラフがあり、それをきれいに整える役割。
もちろん、それも今なお大切な仕事です。
ただ、時代が進むにつれて、それだけでは足りなくなってきていると思います。
なぜならAIやツールの進化・発展により
「作ることはできるが、何を作るべきか分からない」
という悩み自体を抱える人が増えているからです。
・何を打ち出せばいいのか
・誰に向けて発信すべきか
・そもそも強みは何なのか
こうした部分は、依頼者自身も整理できていないことが多いと感じています。
そこで求められるのが、一緒に考える事ができるデザイナーです。
見た目を整える前に、目的や方向性を確認し、「それ、本当に必要ですか?」と問いかける。
ときには希望されている手法やデザインを作らない、という判断をすることもあるかもしれません。
これは決して出しゃばりではなく、成果を出すための選択です。
これからのデザイナーは、ただの“制作担当”ではなく、
目的に向かって並走するパートナーに近い存在になっていくのが理想と思っています。
依頼者が前を向いて走り、デザイナーは少し横で、地図を見ながら声をかける。
「その方向で合ってますよ」
「少し右に寄った方が近いかもしれません」
そんな関係性が、これからのデザインサービスの理想なのかもしれません。
まとめ
デザインとアートは、似ているようで役割が違います。
アートは「表現」。デザインは「目的達成」。
どちらが良い・悪いではなく、使う場面が違う。
「いい感じにしてほしい」という依頼は、
一見ラクそうで、実はすれ違いの原因になりがちです。
目的や背景を少し共有するだけで、デザインの精度は大きく変わります。
これからのデザイナーは、作る人ではなく、一緒に考える存在。
ぜひ“丸投げ”ではなく、“相談する相手”として使ってみてください。
それでは!
